めっき技術
仕上がりの質が最優先


湯浅糸道工業では、糸道製品の性能を左右する硬質クロムめっきを、自社内で一貫して行っています。その中核となるのが、一般的なサージェント浴ではなく、「ケイフッ化浴」を用いた硬質クロムめっきです。
ケイフッ化浴は、添加剤に頼るめっきと比べ、クロム粒子が非常に細かく、表面を均一に仕上げやすい特性を持ちます。粒子の大きさや付き方にばらつきがあると、糸道表面に微細なムラが生じ、糸切れや毛羽立ちの原因になります。加えてケイフッ化浴は電着性が安定しており、めっきが均一に密着するため、梨地・鏡面いずれの仕上げでも、糸道製品としての糸への負担を最小限に抑えた表面仕上げを実現できます。
一方で、ケイフッ化浴は浴管理が極めて難しく、薬品管理や処理工程にも手間がかかります。それでも湯浅糸道工業がこの方式を採用し続ける理由は、糸道として理想的な表面品質を徹底的に追求するためです。
扱いやすさよりも、仕上がりの質を優先する。その選択こそが、湯浅糸道工業のめっき技術を、他社と一線を画す存在にしています。

めっき技術
浴を理解するという技術


ケイフッ化浴による硬質クロムめっきは、浴の状態管理が品質を大きく左右します。めっき液の成分は日々変化し、加工する製品や条件によってそのバランスが崩れていきます。そのため、安定した品質を保つためには、液中の成分状態を正確に把握し、適切に管理し続けることが不可欠です。
一般的には、めっき液の分析を外部の専門機関に委託するケースが多く、確認や調整に時間を要します。その点、湯浅糸道工業では、めっき液を分析・管理する専門部署を社内に持ち、化学の知見を持つ担当者が日常的に浴管理を行っています。めっき液をサンプリングし、成分の増減や不要物の影響を細かく確認しながら、規定範囲内に保つための調整を自社内で完結させています。
社内でめっき液の分析から調整までを行える体制があるからこそ、品質のブレを最小限に抑え、トラブル時にも迅速に対応できます。この「浴を理解し、状態を保ち続ける力」が、糸道製品に求められる安定した表面品質を支え、湯浅糸道工業のめっき技術を確かなものにしています。

めっき技術
現場で受け継がれる技

硬質クロムめっきの現場は、数値や手順だけでは語り切れない世界です。めっきの付き方に最適な条件は日々変化し、昨日上手くいったことが今日は通用しないことも珍しくありません。
その要因は、めっき液の状態だけではありません。季節や天候による温度・湿度の変化、薬品の消費状況、毎日異なる製品や治具の組み合わせ、浴槽に入れる位置や距離。さらには、めっき前の鉄素材が持つわずかな状態差。そうした一つひとつの違いが仕上がりに大きく影響するため、すべての条件をマニュアル化することは現実的ではありません。
だからこそ現場では、経験から培われた「勘」と「予測力」を頼りに、電流や条件を微調整しながら、狙い通りのめっきを仕上げていきます。こうした判断を日々積み重ねてきた湯浅糸道工業の現場には、職人の存在と、それを育て続けてきた育成文化が息づいています。
ベテラン職人は、若手に細かな答えを与えるよりも、まず触らせ、試させ、現場の空気や変化を体で感じさせます。失敗を重ねながら、自分なりの感覚と判断軸を育てていく。その積み重ねによって、湯浅糸道工業のめっき技術は磨き続けられてきました。
分析や設備、仕組みを整えたうえで、最後に品質を決めるのは人の判断。すべては、「最高の糸道製品をつくるために」。その想いが、湯浅糸道工業のめっき現場には今も脈々と受け継がれています。

糸ダメージを抑えるため、液体ホーニングによる表面加工と、専用めっき槽による硬質クロムめっきを組み合わせています。糸にやさしい表面を実現するため、あえて難易度の高い加工方法を採用しています。












