自社設計・自社開発
信頼が育てた開発力

湯浅糸道工業が自社設計による装置開発を強みとする背景には、糸道ガイドだけでも何万点規模に及ぶ自社ラインナップの存在があります。装置開発はもちろん、糸道製品そのものの設計・改良においても、自社開発品の豊富なラインナップと在庫が、性能検討の基盤となっています。
新規装置の開発にあたっては、過去の類似形状や使用実績、改善履歴も参照しながら、より精度の高い設計へとブラッシュアップ。同時に、同じ課題を繰り返さないための構造が自然と組み込まれていきます。
この設計開発力を支えてきたのは、長年にわたり関係を築いてきたお客様との信頼です。新規製品の多くは、トライ&エラーの積み重ねから生まれてきました。オイリングガイドひとつを取っても、数えきれない形状提案と製品設計、金型設計を重ねてきた実績があります。
「白粉を抑えたい」「張力をより細かく調整したい」「数値を規定値内に収める構造が必要」―― そうした現場の声をもとに試作品を設計し、実際の現場で使っていただく。営業が出張先でサンプルをお預けし、後日、現場に立ち会って一緒に確認を行いながらフィードバックをいただきます。こうしたやり取りの一つひとつが、湯浅糸道工業の知見を蓄積し、次の設計レベルへと引き上げてきました。
湯浅糸道工業は、カタログに載った製品をただ生産・販売している会社ではありません。設計技術と開発力を起点に、個々のお客様の現場に最適な糸道製品、糸道装置を形にしてきたメーカーです。
カタログに掲載されていない何万点もの製品群 ―― それこそが、お客様との信頼関係の積み重ねであり、湯浅ブランドの歩んできた軌跡そのものです。

社内には、糸の張力(テンション)の測定や、糸・金属線・ガイドの摩耗評価を行える試験環境を整備。紡糸・巻き取り試験後の糸の測長など、数値データに基づく設計検証を行っています。

自社設計・自社開発
現場課題を可視化する検証設備

湯浅糸道工業が、現場に最適な糸道製品・装置を実現できる理由。その確かな裏付けとなっているのが、自社内に整備された試験設備と評価環境です。「紡糸工程を再現する装置」「ガイドの摩耗状態を評価する試験機」「糸走行時の張力変化を見極める設備」。こうした環境を社内に備えることで、新規開発品についても現場レベルでの検証を経て、お客様へお届けすることが可能となっています。
評価の対象は、自社製品に限りません。他社製ガイドの表面状態も観察・分析し、「なぜ毛羽が発生しているのか」「どこに原因があるのか」と仮説を立てる。その検証結果を踏まえ、「湯浅糸道としては、こうした糸道を提案したい」と、エビデンスに基づく具体的な改善提案へとつなげています。
例えば、紡糸工程におけるオイリングガイドやインターレーサー製品。静電気の抑制、染色ムラの低減、糸の交絡状態――わずかな条件差が結果を大きく左右する領域だからこそ、微調整を何度も重ね、最適な状態を導き出していきます。
糸道製品の性能評価は、お客様の現場によって180度変わることも珍しくありません。同じ糸道でも、A社では最適、B社では期待した結果が出ない。だからこそ、個々の現場に合わせた検証と評価を前提にできる試験環境が、湯浅糸道工業の強みとなっています。
湯浅糸道工業の設計技術とは、単に製品を企画し、形にする力ではありません。現場の課題を試験で可視化し、評価し、最適解へと落とし込む力。それはまさに、現場課題の最適化に向き合い続ける「糸道研究機関」としての技術力であると自負しています。

社内の試験設備では、インターレーサー製品を用いて実際に糸の交絡数や強度、ばらつきの検証も行っています。交絡状態や空気条件の違いを確認しながら、最適な糸道設計の検討を進めています。

自社設計・自社開発
挙動を理解した装置開発事例

圧倒的な糸道製品のラインナップと、それを裏付ける試験・評価環境。こうした基盤の上にあるのが、湯浅糸道工業株式会社が「部品メーカー」にとどまらず、「糸道装置」そのものを自社で設計・開発してきた実績です。糸の走行、張力、速度といった挙動を深く理解しているからこそ、個々の部品を組み合わせるだけではなく、現場で機能する装置として最適解を形にしてきました。
ここでは、その姿勢と技術力を象徴する、3つの自社開発装置の事例をご紹介します。
糸・電線の測長と切断を一体化した自社設計装置
カウンター・メジャーリングデバイス

糸や電線の走行長さを正確に測定し、設定した長さで自動的に切断する装置です。操作はシンプルで、カウンターに所定の長さを入力すると、糸の走行に合わせて赤色のデジタル表示がカウントアップされ、設定値に達した時点で切断が行われます。
測長の仕組みは、糸の走行を促すローラーの回転数をもとに長さを算出する方式。ローラーが回転するごとにカウントが進み、糸や電線の走行量を安定して把握することができます。
本装置は、スプリングテンサ・ヤーンスピードセンサー・ヤーンカッターの3つの機器を一体化した構成となっており、それぞれが役割を分担しながら、正確な測長と安定した切断を実現しています。
糸走行スピードを監視・制御する自社設計ユニット
ヤーンスピードセンサーユニット

糸の走行スピードを監視し、設定した上限・下限を外れた場合にのみ信号を出して、糸走行を停止させる装置です。糸のスピード管理が求められる現場において、走行異常の検知を目的として開発されました。
本装置には、糸走行の異常を検知するヤーンスピードセンサーを採用。内部のセンサーがベアリングローラーガイドの回転を検出し、糸の走行速度を把握します。必要なときだけ制御をかける設計により、過剰な停止を防ぎつつ、安定した糸走行管理を可能にしています。
このユニットは、最終的に36本の糸走行を想定し、まずは1本用の試作装置として湯浅糸道工業が自社開発しました。お客様と仕様を詰めながら実用性を固め、最終的に設備開発企業と連携し、実現に至りました。
ゴム糸の張力を最適に保つ自社設計ユニット
テンションコントロールユニット

主に丸編み機や、紙オムツ製造機で伸縮性のある糸を安定した張力で走行させるための装置です。お客様からは、常にふんわりとした、絶妙なテンションを保った状態で走行させたいという要望がありました。
本装置は、上部に配置したセンサとモーターを連動させることで、ゴム糸のテンションを制御します。巻取り側駆動部の速度変化にて速度が上昇した場合、それに伴って糸を引張るため、テンションも高まります。逆に駆動部の速度が下降した場合、糸の張りが緩むため、テンションが低くなります。センサにてテンションの強弱を検知した場合には、下部のモーターで糸の送り込む速度の調整を行う事で、テンションの増減を和らげます。糸の引張り、緩む動きに対して供給側が追従する制御により、ゴム糸をふんわりとした一定のテンションを保ったまま走行させることが可能です。
糸の特性を理解したうえで、走行・張力・制御を一体で設計する。このテンションコントロールユニットは、糸道メーカーである湯浅糸道工業と、大学や専門の設備開発企業との連携によって実現した開発設備です。

自社設計・自社開発
設計で応えるという価値

難しい課題を突きつけられたときこそ、湯浅糸道工業の技術者たちは前を向きます。お客様から寄せられる相談の多くは、決して簡単なものではありません。しかしそれは、「湯浅糸道なら何とかしてくれる」「ここにしか頼めない」と思っていただいているからこそ、持ち込まれる相談でもあります。
ゼロの状態から設計を始めるケースも少なくありません。お客様とポンチ絵を交わしながら、イメージを共有し、一つひとつ形にしていく。そうして完成した製品が現場に納まり、「経過は良好です」との声をいただいたとき、設計者にとってこれほど報われる瞬間はありません。
課題解決につながるものづくりの喜びを知り、その先を目指し続ける。
お客様の現場に真正面から向き合い、自社設計技術で応えようとする考え方。それこそが湯浅糸道工業の技術力の根幹であり、社会に対する価値提供そのものです。













