全数検査の取り組み

品質を守り続ける、全数検査

湯浅糸道工業が全数検査にこだわる理由は、品質をつくるだけでなく、その安定した状態を確実に保つためです。製造工程では、わずかな条件の違いによって製品の状態が変化することがあるため、受け入れ検査を起点に、全数検査へと進む複数のチェックフローを構築しています。

特に高い品質が求められる糸道製品については、検査の目を幾重にも重ねて確認を行います。3倍拡大鏡を用いる検査、20倍の顕微鏡を用いる検査、さらに3倍拡大鏡を使った後に20倍の顕微鏡を使った検査を、製品に応じて使い分けています。このような検査体制により、糸道の表面状態や微細な異常を、肉眼では捉えきれないレベルまで精密に確認し、品質のばらつきを極限まで抑えています。
また、製品によっては一次加工後に検査を行い、問題がないことを確認したうえで、表面処理などの二次加工へ進みます。その後、最終検査を実施することで、完成品では見えにくい要因であっても将来的なトラブルを未然に防ぐため、徹底した検査体制を整えています。

全数検査への徹底したこだわりは、100年を超えて糸道づくりに向き合ってきたメーカーとしてのプライドにほかなりません。一つひとつの製品を確実に見極め、妥協なく送り出す。その姿勢こそが、湯浅糸道工業のアイデンティティです。
検査工程において、糸道メーカーとしての誇りと愛情を、製品の中へ包み込む。それが、湯浅糸道工業の考える品質の在り方です。

品質管理課では、検査担当者同士の情報共有を重視し、判断基準の統一を図っています。過去の検査データも参照しながら、不良品の流出防止と安定した品質確認を徹底しています。

全数検査の取り組み

検査は、受け継がれる技術

湯浅糸道工業では、年間およそ570万個の糸道製品すべてに対し、目視による全数検査を行っています。この膨大な数量の一つひとつに、確立された検査技術を同じ基準で注ぎ込むことが、品質の安定を支えています。
その基盤となっているのが、長い歴史の中で蓄積してきた検査記録とデータです。製品ごとの不具合傾向、注力すべき観察視点、過去のトラブル事例。歴代の検査員たちが現場で得てきた知見や判断は、すべて湯浅糸道工業の財産として蓄積されています。
なかでも、長年にわたり保存してきた不良サンプルは、検査技術を支える重要な存在です。年間に数回しか出ない製品であっても確実に見極められるよう、不良見本を残し続けてきました。これらは、最高レベルの検査を行うための“教科書”として、後進の技術継承を支えています。

全数検査を支えているのは、人の目と、積み重ねてきた記録・データの両輪。この蓄積があるからこそ、すべての製品に対して、一定以上の検査品質を保つことができています。

全数検査の取り組み

社内で回す品質の循環

湯浅糸道工業では、全数検査を「良否を判断する工程」で終わらせません。検査結果はすべて数値としてロットごとに記録し、前工程へフィードバックするための情報として活用しています。
例えば、一定の不良率を超えた製品ロットは品質管理上のデッドラインと位置づけています。その場合は品質情報シートを発行し、成形・研磨・めっきなどの前工程セクションと状況を共有。原因の確認と対策を検討し、必要に応じて購買先への注意喚起なども行います。
また、樹脂製品で成形工程に起因する不具合が疑われる場合は、社内の射出成形部門へ直接フィードバック。射出圧力などの成形条件を見直し、試作品による検証を重ねたうえで最終検査を行い、品質を確認します。

検査結果を数値で把握し、判断し、改善へつなげる。この検査→データ化→改善のサイクルを社内で恒常的に回していることが、品質の安定につながっています。
品質管理課を中心に、複数部署が連携して改善に取り組める体制は、社内一貫体制を持つ湯浅糸道工業ならではの強みです。

全数検査の取り組み

全数検査を進化させる

幾重にも工程を重ねる全数検査は、時間がかかるものと思われがちです。しかし湯浅糸道工業では、品質を守りながら納期も守るため、検査スピードと効率化に継続的に取り組んできました。その一つが、自作治具による検査方法の工夫です。
例えば、極めて微細な製品であるアイレットガイドの検査では、穴の空いた板状のパレット治具を自作。製品をすべて同じ向きに並べ、一面をまとめて確認。反転させることで、裏面も同様に一括で目視確認できる治具を活用しています。こうした工夫により、数万個単位の製品を効率的に拡大鏡で検査しています。

さらに現在、湯浅糸道工業ではAIを活用した検査装置の開発にも取り組んでいます。品質管理課と製造技術部が共同で進めているのが、主力製品である「ツイストストップホイール」のAI検査装置です。膨大な検査対象を前に、「人による検査をどう補い、さらなる効率化と精度向上をどう実現するか」という視点から、検査体制の高度化を模索しています。
人が得意とする判断力と、AIが優れる処理能力。その両者を組み合わせることで、検査負荷をやわらげ、より安定した全数検査体制を目指しています。こうした取り組みは、湯浅糸道工業が培ってきた全数検査というアイデンティティを、次の段階へ引き上げる挑戦でもあります。

自社製治具による検査方法の工夫も、AI検査装置の開発も、社内に製造工程を持つ体制と、製造技術部との連携があってこそ実現できるもの。湯浅ブランドの品質を支える大きな要素となっています。

全数検査の取り組み

人が守る品質の根幹

検査の効率化や自動化が進んでも、最終的な良否判断を担うのは、やはり人です。ロボットやAIを活用したとしても、ものづくりを完全に人の手から切り離すことはできません。そこには必ず、経験に裏打ちされた判断力と、長年積み重ねてきた技術や知識が必要になります。
そのためにも、特定の個人に頼らない検査体制を築くことも重要なテーマです。蓄積してきた検査データや不良サンプルを教材として活用し、日々のフィードバックと改善を重ねながら、同じ視点で判断できる人材を育成しています。OJTも積極的に活用し、先代たちが磨いてきた糸道づくりの技術、知識、そして品質に向き合う信念を、次の世代へ確実につないでいきます。

技術や仕組みが進化しても、品質の根幹を支えるのは人です。人による確かな判断を大切にしてきた全数検査が、安心して長く使える糸道製品を支え、多くのお客様との継続的な信頼関係を築いてきました。
その信頼を守り続けること。それが湯浅糸道ブランドに課せられた責任だと考えています。

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